ヨガ哲学を日常に活かすヒント|秋の夜長に心を整える八支則の知恵

横浜あざみ野の少人数制ヨガスタジオ、ちゃんどら yoga studioです。

朝夕の涼しい風に秋の気配を感じる頃になると、日々の慌ただしさのなかでふと気持ちが落ち着かなくなったり、季節の変わり目特有の体のだるさを覚えたりする場面が増えてきます。夏から秋へと移り変わる時期は、気温や気圧の変動が大きく、自律神経のリズムが乱れやすい季節でもあります。なんとなく気分が沈んでしまう、夜になっても頭の中の考え事が止まらないといった不調を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ヨガと聞くと、マットの上で体を柔らかく動かすポーズ(アーサナ)を思い浮かべる方が多いかもしれません。ポーズの練習はもちろん体をほぐし、めぐりを整える助けになりますが、実はポーズはヨガという深遠な体系のほんの一部にすぎません。古くから受け継がれてきたヨガの根本には、心の波立ちを静め、穏やかに生きるための智慧であるヨガ哲学が存在しています。

ヨガ哲学は、遠い昔の修行者のためだけのものではありません。現代社会で仕事や家事、子育てに追われる私たちが、日々の暮らしの中で健やかに過ごすための具体的な道しるべとなってくれます。秋の夜長を迎えるこの季節、体を動かすだけでなく、少し立ち止まってヨガ哲学の考え方に触れてみませんか。心がふっと軽くなるヒントを丁寧にお届けします。

心と体を健やかに保つヨガ哲学と八支則の基本的な考え方

ヨガの古典的な教本である『ヨーガ・スートラ』では、ヨガの目的を「心の働きの止滅」、すなわち心の波立ちを静かな状態へと落ち着かせることであると定義しています。私たちは普段、周囲の出来事や他人の言葉、未来への不安、過去の後悔などによって、常に心を揺り動かされています。そうした心の揺らぎを穏やかに整えていくための実践法として体系化されたのが「八支則(アシュタンガ)」と呼ばれる八つのステップです。

八支則という言葉を聞くと、難解な修行のように感じるかもしれません。RYT200などのヨガ指導者養成講座でヨガ哲学を学ぶ際にも、専門用語の多さに戸惑う受講者が少なくありません。資格取得のための勉強法や覚え方として、サンスクリット語の用語を丸暗記しようとする方も見られますが、ヨガ哲学の本質は頭で記憶することではなく、日々の暮らしに落とし込んで体感することにあります。八つの段階を日常の行動や意識と結びつけて捉えていくと、自然とその意味が腑に落ちていきます。

八支則の構成を順に見てみましょう。

  1. ヤマ(禁戒):社会生活において控えるべき五つの行動
  2. ニヤマ(勧戒):自分自身のために積極的に心掛けたい五つの行動
  3. アーサナ(坐法・ポーズ):瞑想を安定して行うための体づくり
  4. プラーナヤーマ(調気法・呼吸法):呼吸を通して生命エネルギーを整える練習
  5. プラティヤハーラ(制感):外側に向きがちな五感を内側へと引き戻すこと
  6. ダーラナ(集中):心をひとつの対象に留め置く集中状態
  7. ディヤーナ(瞑想):集中が深まり、静寂が途切れなく続いている状態
  8. サマーディ(三昧):心と対象がひとつになり、静けさと調和に至る境地

このように、ポーズ(アーサナ)は八つのうちの三番目であり、その前段階として自分を取り巻く世界や自分自身との関わり方を整えるヤマとニヤマが置かれています。心の土台が整っていなければ、いくら体を動かしても内側の深い落ち着きを得ることは難しいためです。

読書の秋と呼ばれるこの季節、ヨガ哲学の入門書や解説本を手に取ってみることもおすすめです。初心者向けの書籍を選ぶ際は、サンスクリット語の原典訳そのものよりも、現代の日常生活における身近な例を交えて解説している本を選ぶと、無理なく親しむことができます。八支則をわかりやすく解きほぐした本を1冊読むだけでも、普段の何気ない思考パターンに気づくきっかけになります。

季節の変わり目に試したい日常生活でのヨガ哲学の実践法

ヨガ哲学のなかでも、ヤマ(控えること)とニヤマ(心掛けること)に含まれる教えは、日常生活での活かし方がとても豊富です。特に季節の変わり目におけるメンタルケアや自律神経を整える考え方として、役立つ三つの知恵をご紹介します。

アヒムサ(非暴力・自分への優しさの実践)

ヤマの最初に出てくる「アヒムサ」は、他者を傷つけないこと、非暴力を意味します。この教えは、他者に対して暴力や暴言を振るわないことだけにとどまりません。自分自身に対して優しさを向けることもまた、深い意味でのアヒムサの実践です。

真面目で責任感の強い方ほど、「もっと頑張らなければならない」「どうして自分はこれくらいしかできないのだろう」と、無意識のうちに自分を責め立ててしまいがちです。心の中で自分に向けて厳しい言葉を投げかけることは、自分自身を攻撃していることと同じです。秋の寒暖差で体が重いときや、思うように集中できない日には、「今は季節の変わり目だから、体が休養を欲しているのだ」と受け止め、無理を重ねない選択をしてあげてください。自分への優しさを持つことが、心身の緊張をゆるめ、自律神経の安定へとつながっていきます。

サントーシャ(足るを知る・知足によるストレス解消)

ニヤマに含まれる「サントーシャ」は、「足るを知る」という考え方です。私たちはつい、「あれが足りない」「もっとこうでなければ満たされない」と、失われているものや手に入らないものばかりに目を向けがちです。その欠乏感が、日々の焦りやストレスを生み出す大きな要因となっています。

サントーシャとは、現状に甘んじて努力を放棄することではありません。「今、すでに自分に与えられているもの」に気づき、感謝の気持ちを向ける姿勢を指します。温かい食事がとれること、夜に安心して横になれる布団があること、今日も無事に呼吸ができていること。当たり前だと思っている日常の恵みに意識を向けてみると、足りないものを追い求めて張り詰めていた心がほぐれ、穏やかな満足感が広がっていきます。ストレス解消の第一歩は、外に刺激を求めるのではなく、今ここにある満ち足りた状態を思い出すことです。

アパリグラハ(執着を手放す・不貪の実践法)

ヤマのひとつである「アパリグラハ」は、貪らないこと、必要以上のものを求めず執着を手放す実践法です。物やお金に対する執着だけでなく、「人から良く見られたい」という承認欲求や、過去の栄光、将来に対する過剰な心配、固定観念なども執着の一種です。

秋は木々が自然と葉を落とし、冬を迎える準備を始める季節です。自然界が不要なものを手放していくように、私たちの心の中にある不要なこだわりや、自分を縛り付けている思い込みを少しずつ手放してみましょう。「こうあるべきだ」という枠組みを緩めてみるだけでも、肩の力が抜け、呼吸が深くなっていくのを感じていただけます。

秋の夜長を穏やかに過ごす内省と瞑想の取り入れ方

日没が早くなり、夜の時間が長く感じられる秋の夜は、自分の内側へと意識を向ける内省や瞑想の時間を持つ絶好の好機です。一日の活動を終えた後の静けさのなかで、頭と心をリセットする瞑想のやり方を日常に取り入れてみましょう。

瞑想を始めるときは、難しい姿勢を完璧に取ろうと気負う必要はありません。椅子に浅く腰掛けるか、床に安楽座(あぐら)の姿勢で座り、骨盤を立てて背筋を心地よく伸ばします。肩の力を抜き、両手は膝の上に優しく置きます。目は軽く閉じるか、ぼんやりと斜め前方の床を見つめる半眼にします。

座る姿勢が定まったら、ゆっくりと呼吸に意識を向けていきます。鼻から入ってくる涼しい空気の感覚、胸やお腹がふくらむ様子、そして息を吐くときに温かい空気が抜けていき、体が少し沈み込むような感覚をただ静かに観察します。息を深く吸おう、長く吐こうとコントロールしすぎず、自然に起こる呼吸のリズムに身を委ねていきます。

瞑想をしていると、ふとした瞬間に明日の仕事のことや、今日あった出来事などの雑念が次々と浮かんできます。これは人間の脳にとって自然な現象であり、集中できていないと落ち込む必要はありません。「今、別のことを考えていたな」と気づいたら、その考えを善悪で判断せず、そっと手放して再び呼吸の感覚へと意識を戻します。雑念に気づいて意識を呼吸に戻すという反復作業そのものが、心を調えるトレーニングになります。

また、秋の夜には月のリズムに意識を向けてみることもおすすめです。月は新月から満月、そしてまた新月へと満ち欠けを繰り返しています。私たちの心や体の状態も、一定ではなく常に満ちたり引いたりを繰り返しながら生きています。元気いっぱいに活動できる時期があれば、静かに内にこもって休みたい時期があるのも自然な巡りです。月を見上げながら、その時々の自分のゆらぎをそのまま受け止めてあげる時間を持つことで、無理のない健やかさを保つことができます。

毎日の入浴後や就寝前の5分から10分程度、スマートフォンやテレビを消して静寂の中で過ごす時間を作ってみてください。一日の終わりに静かに座る習慣が、乱れがちな自律神経を優しく整え、心地よい眠りへと導くサポートになります。

横浜のあざみ野にあるちゃんどら yoga studioでは、新月から満月まで、月の満ち欠けに合わせた5段階レベルのクラス構成をご用意し、少人数制で丁寧なレッスンを行っています。ポーズの練習はもちろん、呼吸や内面を見つめる時間も大切にしておりますので、ヨガ哲学に興味を持たれた方は、ぜひ一度体験レッスンにお越しください。

※本記事に掲載している内容は、健康維持や暮らしの参考となる一般的な情報の提供を目的としており、医学的な効果や特定の症状の治癒を保証するものではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関へご相談いただくことをおすすめします。