日常がふっと軽くなるヨガ哲学の教え|秋の夜長に心の静寂を取り戻すヒント

朝晩の空気がひんやりと冷たくなり、木々の葉が色づき始める頃になると、なんとなく気分が落ち着かなかったり、理由のない焦りを感じたりすることはありませんか。季節の変わり目は、気温や気圧の変化によって自律神経のリズムが揺らぎやすく、心身にストレスがかかりやすい時期でもあります。
ヨガといえばマットの上でポーズを取る運動をイメージする方が多いかもしれません。しかし、ポーズはヨガという大きな教えの中のひとつの要素に過ぎません。インドで古くから受け継がれてきた「ヨガ哲学」には、揺れ動く心を落ち着かせ、自分らしく穏やかに生きていくためのヒントが詰まっています。
横浜あざみ野の少人数制ヨガスタジオ、ちゃんどら yoga studioです。
読書の秋や内省にぴったりのこの季節に、日常生活ですぐに役立つヨガ哲学のエッセンスをお届けします。
季節の変わり目の心と体を整えるヨガ哲学の基礎知識
ヨガの根本的な考え方を知る上で欠かせないのが、およそ数千年前に編纂されたとされる『ヨーガ・スートラ』という古典の存在です。スートラという言葉には「糸」という意味があり、短い言葉が糸でつなぎ合わされたように書かれています。
この書物の冒頭には、「ヨガとは、心の動きを静めることである」という一節が記されています。仕事の段取り、家族のこと、人間関係の悩み、未来への不安など、私たちの頭の中は常にたくさんの思考がめまぐるしく動いています。秋の涼しさと相まって物寂しさを感じたり、季節の変わり目に特有のストレスを覚えたりするのも、心が外側の環境に強く反応している状態といえます。ヨガ哲学は、そうした思考の波を穏やかに凪の状態へと導き、心の静寂を見出すための道しるべとなってくれます。
ヨガインストラクターの資格であるRYT200を目指す方の中には、ヨガ哲学の勉強法に悩む方が少なくありません。聞き慣れないサンスクリット語が多く、独学での覚え方に苦労することもあるでしょう。しかし、ヨガ哲学を学ぶために難しい学術書をすべて暗記する必要はありません。
読書の秋に初心者の方がヨガ哲学の本を手に取るなら、まずは現代の言葉でわかりやすく解説された入門書やエッセイ形式のものがおすすめです。日常のどんな場面にその教えが当てはまるのかを想像しながら読み進めることで、自然と理解が深まっていきます。頭で丸暗記するのではなく、心で納得できた教えをひとつずつ日々の生活に落とし込んでいくことこそが、ヨガ哲学の本来の活かし方といえます。
毎日の暮らしと人間関係を穏やかにするヨガの八支則
ヨガの教えの中心には「八支則(アシュタンガ)」と呼ばれる8つの段階があります。いきなり難しい修行に入るのではなく、社会生活を送る上での倫理や、自分自身の心身を清めることから段階を踏んで進んでいく仕組みです。秋の落ち着いた時期にこの八支則をわかりやすく紐解いてみると、自律神経の安定や心の平穏に役立つ知恵がたくさん見つかります。
八支則の最初の段階が「ヤマ(禁戒)」、2番目が「ニヤマ(勧戒)」です。社会生活や人間関係の中で慎むべきこと、そして自分自身に対して実践したい心がけがそれぞれ5つずつ定められています。その中でも、現代の私たちが特に意識したい教えをいくつか紹介します。
アヒムサ(非暴力):自分を大切にする方法
ヤマの筆頭に挙げられるのが「アヒムサ(非暴力)」です。これは他人を傷つけないことだけでなく、何よりも「自分自身を傷つけない」という意味を含んでいます。
疲れているのに無理をして仕事を詰め込んだり、他人の期待に応えようとして自分の気持ちを押し殺したりしていませんか。できない自分を責めたり、他人と比べて落ち込んだりすることも、知らず知らずのうちに自分へ向けている小さな暴力といえます。アヒムサを意識することは、自分を慈しみ、大切にする具体的な方法そのものです。疲れたときは無理をせず休む、身体が喜ぶあたたかい食事を摂る、自分を労う優しい言葉をかけてあげる。そんな日々の選択が、すり減ったメンタルを整える土台になります。
サントーシャ(知足):足るを知ることで落ち込みを解消する
ニヤマのひとつである「サントーシャ」は、日本語で「足るを知る」と訳されます。「もっとお金があれば」「もっと評価されたら」「あの人みたいにスタイルが良ければ」と、自分に足りないものばかりに目を向けていると、心はいつまでも満たされず、落ち込みや焦りが生まれてしまいます。
サントーシャは、今すでに自分が持っているもの、与えられている環境に気づき、感謝する姿勢を教えてくれます。今日あたたかいお布団で眠れること、深呼吸できる身体があること、窓から見える秋の空がきれいなこと。すでに満たされている小さな幸せに意識を向ける習慣がつくと、他人との比較による落ち込みを解消し、内側から穏やかな安心感が湧いてきます。
アパリグラハ(不貪):手放すことで軽くなる秋の断捨離
ヤマの教えに含まれる「アパリグラハ」は、執着を手放すことを意味します。必要以上の物や地位、過去の栄光、人間関係への執着は、心に重たい荷物を抱え込ませる原因になります。
秋は実りの季節であると同時に、木々が葉を落として冬を迎える準備を始める季節でもあります。自然の巡りに合わせて、身の回りの不要な物を手放す「秋の断捨離」を試してみてはいかがでしょうか。部屋のクローゼットを整理するのと同じように、心の中にある「こうでなければならない」という固定観念や、無理をして付き合っている人間関係の悩みも、そっと手放してみます。握りしめていた手を緩めることで、新しいエネルギーが入り込む余白が生まれます。
秋の夜長に実践したい内省の瞑想とマットの上の時間
日が落ちるのが早くなり、夜の時間が長く感じられる秋は、静かに自分の内側を見つめる内省の時間を持つ絶好の好機です。八支則の後半には、「プラーナヤーマ(調息)」「プラティヤハーラ(制感)」「ダーラナ(集中)」「ディヤーナ(瞑想)」という、心を深く静めていくステップが並んでいます。
日頃の思考のざわめきを鎮める瞑想のやり方は、決して難しいものではありません。静かな部屋に座り、背筋をすっと伸ばして目を閉じます。そして、鼻を通る空気の冷たさや、お腹が膨らんだり縮んだりする感覚に意識を向けます。途中で雑念が浮かんできても、「あ、今別のことを考えていたな」と客観的に受け止め、そっと手放して再び呼吸に意識を戻します。秋の夜長に1日5分でもこうした静寂の時間を持つことで、高ぶっていた交感神経が落ち着き、深い睡眠やリラックスへと導かれます。
そして、哲学の教えは座学や瞑想だけで完結するものではありません。身体を動かすヨガのポーズ(アーサナ)を組み合わせることで、頭で理解した教えが身体感覚として深く染み渡っていきます。
マットの上に立ち、ポーズを取りながら呼吸を観察する時間は、まさに自分自身と対話する時間です。「今日は肩に力が入っているな」「右足の方がグラつきやすいな」と、身体からの声に耳を傾けること自体がアヒムサ(非暴力)の実践であり、今の自分の身体の状態をジャッジせずに受け入れることがサントーシャ(足るを知る)の実践になります。ヨガスタジオで周囲の目を気にせず自分の身体だけに集中する体験を重ねるうちに、マットの外の日常生活でも自然と心が整い、揺らぎにくい軸が育まれていきます。
ちゃんどら yoga studioは、横浜あざみ野にある少人数制のヨガスタジオです。アットホームな雰囲気の中、経験豊富なオーナーインストラクターが一人ひとりの体調や柔軟性に寄り添いながら、丁寧な指導を行っています。新月から満月まで、月の満ち欠けのリズムに合わせた5段階レベルのクラス構成を取り入れており、その日のご自身のエネルギー状態に合わせて無理のないクラスをお選びいただけます。
子連れで気兼ねなくご参加いただける産前産後クラスをご用意しているほか、ご自宅から気軽に参加できるオンラインレッスンにも対応しています。予約制でご自身の好きなタイミングやペースで無理なく通っていただけるため、運動不足の解消や肩こり・腰痛のケア、日々のリフレッシュなど、20代から70代まで幅広い年代の方にご利用いただいています。
秋の訪れとともに、日常の忙しさから少し離れて、ご自身の心と身体をいたわるヨガの時間を過ごしてみませんか。スタジオでの体験レッスンは随時受け付けておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
※本記事に記載された情報は一般的な健康・ヨガ哲学に関する知識の提供を目的としたものであり、特定の効果を保証するものではありません。心身の不調や健康状態に関する判断は、専門の医療機関にご相談ください。


